Pick Up the Medicine:ルビプロストン、リナクロチド、エロビキシバット

 今号と次号では、ルビプロストン、リナクロチド、エロビキシバットについてお送りします。

 ご存知の通り、いずれも緩下剤とされ、比較的新しい薬です。新しいと言っても、2012年にアミティーザ(ルビプロストン)が発売されており、すでに十数年が経過しています。ただし、緩下剤として現在でも処方頻度の高い酸化マグネシウムは、これら3剤よりもずっと古い薬なので、そういう意味では、比較的新しい緩下剤というのも納得できますね。

 ではまず、それぞれの薬理作用を見ていきます。

  • ルビプロストン・・・小腸粘膜のClC-2クロライドチャネルの活性化
  • リナクロチド・・・小腸粘膜上皮のグアニル酸シクラーゼC受容体の活性化および腸管粘膜下組織の求心性神経の過敏性の改善
  • エロビキシバット・・・小腸の回腸末端における胆汁酸再吸収阻害作用

 どうですか?
いずれも2010年代に販売開始されたものですが、薬理作用が全く異なるのが面白いところですね。

 では、次に用法を見ていきます。

  • ルビプロストン・・・1日2回、朝食後および夕食後
  • リナクロチド・・・1日1回、食前
  • エロビキシバット・・・1日1回、食前

ルビプロストンのみ1日2回、他は1回です。また、服用タイミングにも違いがありますね。丸暗記でもいいのですが、薬剤師としてしっかりと理由を考えていきましょう。

まず、ルビプロストンは食後服用ですが、その理由は副作用の悪心・嘔吐を軽減するためです。

なぜ、食後投与によって悪心・嘔吐の発現率を軽減できるのか?

 臨床データでは、悪心・嘔吐の発現率については、食前投与に比べ、食後投与のほうが発現率が低いことが示されています。ただ、その理由については、諸説がいくつかあるものの、公的な資料では触れられておりませんので、ここでは言及しないこととします。

 次に、リナクロチドです。
 リナクロチドが食前投与の理由は、食後投与では副作用として下痢を起こす可能性が高まるためです。食後に飲むと、ある意味、下剤としての作用が強く出てしまうんですね。

 最後、3つ目のエロビキシバットは食前投与です。
 これは、人間の生理機能と薬理作用をしっかりと理解することが大切です。

 まず、薬理作用を振り返りますと、胆汁酸の再吸収阻害作用ですね。

 では、なぜ、胆汁酸と排便が関係するのでしょうか?

 まずは胆汁酸の生理的な役割を見ていきましょう。
 胆汁酸は胆汁の構成成分として、主に脂質の吸収に関与します。胆汁酸は肝臓で生成され、胆汁の一成分として胆嚢で貯蔵され、十二指腸に分泌されますが、常に分泌されているわけではなく、食事の刺激によって分泌されるものです。
 また、十二指腸に分泌された胆汁酸の約95%は、回腸にて再吸収されて、門脈を経由して肝臓に戻ってきますが、再吸収されなかった胆汁酸は、そのまま大腸へと向かい、排泄されます。その時、大腸内で水分分泌量を増加させたり、蠕動運動を促進したりすることで、排便に寄与します。
 つまり、胆汁酸は脂質の吸収に関わる他に、排便にも関与しているのです。

 そこで、エロビキシバットは、胆汁酸の再吸収を阻害することで、大腸へ流入する胆汁酸量を増加させ、排便を促します。

 しかし、服用タイミングについて注意が必要で、胆汁酸が分泌される前に胆汁酸の再吸収に関与するトランスポーターを阻害しておく必要があります。
 また、そもそも胆汁酸は食事によって分泌が促進されるものですから、十分な効果を得るためには食事に合わせて服用することが大切であり、絶食下での投与では期待される効果が得られない可能性もあることは知っておきましょう。
 さらに、エロビキシバットは、絶食下投与では食前投与よりもAUCが増加し、血中濃度の上昇がみられます。エロビキシバットの作用部位は消化管内であり、薬物血中濃度は薬効に影響しないことから、安全性の観点では血中への移行量が少ない方が望ましいと考えられています。

以上のことから、エロビキシバットが食前投与となっていることにも納得できるでしょう。

いかがでしたでしょうか。長くなりましたので、今回はここで一旦締めさせていただきます。

次回は、この続きから始めたいと思います。

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