漢方のミカタ⑤

では、『漢方のミカタ』第5回です!
今回は、二元論の「虚実」について取り上げたいと思います。
二元論の中でも、漢方においてとりわけ重要な「虚実」。
では、その専門的な説明をみてみましょう。

【専門書における虚実の説明】
「実」・・・充満・充実しているという意味で、主に生体が抵抗力に富み病気に対して十分戦う力(生気、精気)に満ちている状態を意味する。
「虚」・・・空虚な、乏しいという意味で、病邪に対する抵抗力に乏しく外からみて弱々しく、生気(精気)が失われた状態を意味する。

少し、難しいでしょうか。では、もう少し噛み砕いた表現を見ていきます。
そのヒントとなるのが、一般用医薬品における「虚証」「実証」の表現です。
一般用医薬品で販売されている漢方薬は、一般の生活者が購入するものですから、「証」についても噛み砕いた言葉で示されており、「証」の根幹を担う「虚実」についても同様です。
それでは「虚証」「実証」がそれぞれどう表現されているのかみていきましょう。

【一般用医薬品の添付文書における虚証・実証の表現】
実証の表現・・・「体力が充実して」「比較的体力があり」等
虚実の尺度で中間の病態の表現・・・「体力中等度で」等
虚証の表現・・・「体力虚弱で」等
虚実に関わらず幅広く用いられるものの表現・・・「体力に関わらず」等

いかがでしょうか。
一般用医薬品では、虚実を理解する手がかりとして「体力」という言葉が使われ、簡潔で分かりやすく表現されています。虚実をイメージする助けになりますね。
これを踏まえて、専門的な表現を振り返ると初見とは違った感じ方をすると思います。

さて、この「虚実」をもとにした「虚証」「実証」の考えですが、「虚実」は、多くの漢方薬において、その患者さんへの使用が適しているか否かを判断する上で、最も重要な要素の一つなのです。

例えば、かぜの初期症状に用いられる漢方処方として、麻黄湯や桂枝湯がありますね。
基本的に、麻黄湯は実証に用いられる漢方処方であり、桂枝湯は虚証に用いられます。

このように、「虚実」の概念を理解することとともに、特定の漢方処方がどのような「虚実」の状態で用いられるのかを覚えることは地味に大事なことだと思います。

しかし、医療用医薬品の漢方処方エキス製剤には「虚実」の表現はほとんどなく、「虚証」に適しているのか、「実証」に適しているのかを把握することは難しいのが現状です。

そこで助けになるのが、一般用医薬品の漢方処方の添付文書です。
先ほども触れましたが、一般用医薬品の漢方処方製剤の添付文書には、その処方に適する「虚実」の状態が、一般の方向けにわかりやすい表現で記されています。
添付文書は公的な文書ですから、その処方がどのような「証」の人に適しているのかを考える上で参考になります。
もし、気になった漢方処方がありましたら、一般用医薬品での「証」の表現も覗いてみてください。もしかしたら、新たな気づきを得られるかもしれません。

では、今回はここまでにします。また次回お会いしましょう。

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