『漢方のミカタ』の第2回です!
前回は、そもそも漢方とは何なのか、漢方処方とは何なのかということをお話しました。漢方処方は、いわゆる漢方薬についている名前のことでしたね。例えば、葛根湯であるとか、大柴胡湯であるとか、この名前そのものが漢方処方ということでした。今回は、そんな漢方処方について、少し掘り下げていきたいと思います。
では、葛根湯を例に挙げて考えていきましょう。
医療用の葛根湯エキス製剤を販売している製薬メーカーは複数ありますが、今回は漢方薬の2大メーカーであるツムラとクラシエから発売されている葛根湯エキス製剤を比較していきます。
ツムラとクラシエ、どちらも葛根湯エキス製剤を販売しているのですが、顆粒と細粒という違いだけでなく、実は中身は少し異なっていることをご存じでしょうか?細かく見ていきましょう。まず、ツムラですが、1日量あたり、カッコン 4.0g、タイソウ 3.0g、マオウ 3.0g、カンゾウ 2.0g、ケイヒ 2.0g、シャクヤク 2.0g、ショウキョウ 2.0gが含まれており、一方、クラシエでは、カッコン 8.0g、タイソウ 4.0g、マオウ 4.0g、カンゾウ 2.0g、ケイヒ 3.0g、シャクヤク 3.0g、ショウキョウ 1.0gが含まれています(※いずれも添付文書記載の原生薬換算量)。いかがでしょうか?入っている生薬自体は同じですが、成分量が異なっていますよね。
医療用医薬品において、こんなことがありえていいのかと思う方もいるかもしれませんが、歴史を振り返ると必然の結果ということが分かります。
まず、漢方処方の原典をたどるとその多くが、「傷寒論」と「金匱要略」です。しかし、どちらも古典であるため、グラム表記なんてあるはずもありません。また、それぞれの処方は、日本の風土に合わせ、原典から微妙に変化させて使われてきました。
つまり、漢方薬は日本の医薬品製造の規格基準化が開始されるずっと前から各メーカーの独自の解釈により作られていたため、現在でも配合量が異なることがあります。
現在、国はこれらの漢方処方に関して、各製薬メーカーなど業界団体等を通じて実態調査を行いながら、日本薬局方への各種漢方エキス製剤の収載を進めています。つまり、日本薬局方では、既存製剤の実態を踏まえた形で漢方エキス製剤が収載されており、結果として原生薬配合量に幅が認められています。また、一般用医薬品における漢方処方については、厚生労働省から通知されている「一般用漢方製剤承認基準」に従って製造販売しなければならず、そこには定められた生薬量が記載されています。例えば、葛根湯の場合、カッコン4~8g、マオウ 3~4g、タイソウ 3~4g、ケイヒ 2~3g、シャクヤク 2~3g、カンゾウ 2g、 ショウキョウ 1~1.5gとなっており、一般用医薬品においては、各社この量に従って製造販売しなければならないのです。
では今回は、ここまでにしましょう!また3月にお会いしましょう!