第3回の Pick Up the Medicine では、「アセトアミノフェン」を取り上げます。
アセトアミノフェンは解熱・鎮痛薬として広く使用されていますが、第1回のロキソプロフェン錠や第2回のセレコキシブ錠とは異なり、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)には分類されません。
NSAIDsは、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することでアラキドン酸からのプロスタグランジン産生を抑制し、解熱・鎮痛・抗炎症作用を示します。
一方、アセトアミノフェンは、NSAIDsと比較して抗炎症作用が乏しく、その作用機序はいまだ完全には解明されていません。現時点では、中枢神経系での作用を主として解熱・鎮痛作用を示す一方、末梢作用はほとんど期待できないと考えられています。
薬理作用がすべて明らかになっていないと不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、医薬品の承認においては、有効性と安全性が最も重要な評価項目とされています。これらが十分に確認されていれば、詳細な薬理作用が不明確であっても承認されるケースは決して珍しくありません。
アセトアミノフェンは末梢での作用が比較的弱いため、NSAIDsで問題となる副作用のリスクが相対的に低いとされています。第1回のロキソプロフェン錠でも触れたように、NSAIDsでは消化管障害や腎機能への影響などに注意が必要です。アセトアミノフェンではこれらのリスクが比較的低いとされており、臨床現場では、腎機能が低下している患者さんなどで解熱鎮痛薬が必要な場合の選択肢となることがあります(ただし、腎機能への影響が全くないわけではないため注意は必要です)。
その一方で、アセトアミノフェン使用時に特に注意すべき副作用は肝障害です。アセトアミノフェンによる薬剤性肝障害の多くは中毒性肝障害とされ、用量に依存して発生することが知られています。
通常、アセトアミノフェンは主にグルクロン酸抱合および硫酸抱合によって代謝され排泄されますが、一部はCYP2E1により代謝され、活性代謝物である N-acetyl-p-benzoquinone imine(NAPQI)を生成します。このNAPQIは通常、グルタチオンと結合することで無毒化され排泄されます。しかし、過量投与や解毒能の低下など何らか理由によりNAPQIが肝細胞内に蓄積すると、肝障害を引き起こす可能性があります。
医療用医薬品において、成人に対する用量は、通常、1回300~1000mgであり、投与間隔4~6時間以上として1日4000mgを限度に使用されます。ただし、アスピリン喘息の既往を有する場合は、1回300mg以下で使用する旨が添付文書に記載されているため注意しなければなりません。
また、第1回のロキソプロフェン錠や第2回のセレコキシブ錠と異なり、小児に対しても適応があり、小児の解熱鎮痛薬としてもよく使用されています。用量は、体重1kgあたり1回10~15mgとされていますので、小児に処方された場合は必ず体重を確認しなければなりません。注意しましょう。
第3回のPick Up the Medicine。いかがでしたでしょうか。また、次号でお会いしましょう!