第7回の Pick Up the Medicine では、「ビスホスホネート製剤」を取り上げます。
本連載は主に薬剤師および薬学生向けとなりますので、ご注意ください。また、内容は添付文書やインタビューフォームを中心に、一部ガイドライン等の情報を加える程度にとどめています。ご了承ください。
「ビスホスホネート製剤」といえば、骨粗鬆症治療薬として広く使用されている医薬品ですね。今回はそのなかでもアレンドロン酸、リセドロン酸、ミノドロン酸について考えていきたいと思います。
ビスホスホネート製剤は、骨に取り込まれ、主に破骨細胞による骨吸収を抑制することで、骨量の減少を抑える薬剤です。
まず、経口ビスホスホネート製剤を使用するうえで、重要なのが服用方法です。
アレンドロン酸、リセドロン酸、ミノドロン酸では、起床時に十分量の水で服用し、服用後少なくとも30分は横にならず、水以外の飲食や他の薬剤の服用を避けるといった注意があります。
起床時に服用する理由の一つは消化管内容物による吸収阻害にあります。実はこれらの製剤はそもそも消化管からの吸収が良くありません。これに加えて、消化管内の飲食物や薬剤によって、さらに吸収が低下してしまうのです。
さらに、一口に水といっても、水道水からミネラルウォーターまでさまざまです。これらの製剤では、硬度の高い水で服用することによって、吸収に影響を及ぼす可能性があります。そのため、普段からミネラルウォーターを飲んでいる患者さんでは、その種類にも注意しておきたいところです。
また、十分量の水で服用することや、服用後30分間横にならないことは、食道炎などの副作用発現のリスクを低下させるうえでも重要です。食道への局所刺激による副作用を軽減させるためには、薬剤を速やかに胃内へ到達させることが重要とされています。少量の水での服用や服用直後の臥位は、薬剤が食道に滞留するおそれが高まるため留意する必要があります。
一方、今回はあまり取り上げませんが、エチドロン酸では服用方法が異なります。服用時点は起床時に限定されておらず、服用前後2時間は食事を避ける、いわゆる食間投与となっています。また、アレンドロン酸などにみられる「十分量の水で服用する」「服用後は横にならない」といった注意事項は、エチドロン酸の添付文書には記載されていません。
次に、ビスホスホネート製剤で共通して注意しておきたいのが、「顎骨壊死・顎骨骨髄炎」です。
添付文書では、報告された症例の多くが、抜歯などの顎骨に対する侵襲的な歯科処置や局所感染に関連して発現しているとされています。
投与中は、口腔内を清潔に保ち、定期的な歯科検査を受けることや、歯科受診時にはビスホスホネート製剤を使用していることを歯科医師に伝えるよう説明しておく必要があります。
そして、もう一つ比較しておきたいのが「腎機能」です。
添付文書では、国内の医療情報データベースを用いた疫学調査において、ビスホスホネート系薬剤を使用した腎機能障害患者のうち、特に高度な腎機能障害患者(eGFR 30mL/min/1.73m²未満)では、腎機能が正常な患者と比較して低カルシウム血症のリスクが増加したことが記載されています。
一方で、腎機能障害のある患者に対する添付文書上の扱いは薬剤によって異なるため、ここでまとめて確認しておきましょう。
アレンドロン酸
・重篤な腎機能障害のある患者では、「重篤な腎機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない」とされ、投与する際は注意すること。
リセドロン酸
・高度な腎機能障害のある患者、具体的にはクレアチニンクリアランス値が約30mL/分未満の患者は禁忌。
ミノドロン酸
・重篤な腎障害のある患者には慎重に投与する。
いかがでしょうか?
同じビスホスホネート製剤でも、腎機能障害に対する添付文書上の扱いは少しずつ異なることが分かります。
腎機能が低下している患者さんにビスホスホネート製剤が処方されている場合には、単に「ビスホスホネート製剤だから」と一括りにするのではなく、どの薬剤が処方されているのかを確認することが大切ですね。
最後に、長期使用時には非定型骨折にも注意が必要です。
アレンドロン酸、リセドロン酸、ミノドロン酸を長期使用している患者では、非外傷性または軽微な外力による大腿骨転子下、近位大腿骨骨幹部などの非定型骨折が報告されています。
また、完全骨折が起こる数週間から数か月前に、大腿部や鼠径部などに前駆痛がみられた症例も報告されています。
そのため、長期服用している患者さんから大腿部や鼠径部などの痛みについて相談された場合には、非定型骨折の可能性も頭に入れておく必要があります。
このようにアレンドロン酸、リセドロン酸、ミノドロン酸には、共通して注意すべき点がある一方、薬剤によって異なる部分もあります。
「ビスホスホネート製剤」と一括りにして覚えるのではなく、共通する特徴と、それぞれの薬剤の違いを整理しておくことが大切ですね。
今回は、ビスホスホネート製剤のうち、アレンドロン酸、リセドロン酸、ミノドロン酸について取り上げました。
それでは、また次回。お会いしましょう!